2024年の目標

目次

(昨年の目標記事はこちら

まずは 2023 年を振り返ります。

1. 昨年の取り組み

プログラミング

2023 年は 2022 年に比べるとあまり趣味のプログラミングに時間を割くことができませんでした。

しかし、スモールステップの作業を断続的に積み重ねれば、ある程度の成果は出せるのではないかと考え、ここ数年ずっと取り組みたいと思っていた自作プログラミング言語に挑戦しました。この言語を Ajisai 言語と呼んでいます。結局、まだまだ未実装の機能だらけですが、とりあえず処理系を作り始めることはできました。

Ajisai という名前にした理由は、その花言葉「移り気」にあります。この言語の仕様については、「ぼんやりとした方針はあるものの、あまりはっきり決め過ぎずに実際に実装するタイミングで必要な仕様を考えよう」という姿勢で行こうと思っています。このように開発方針が私の気まぐれに左右されるので、Ajisai という名前はちょうど良いと思いました。「花の名前は綺麗で良いな」という主観的な理由もありますが……。また、言語仕様や言語処理系にある種の「移り気」な機能をいくつか持たせたいと考えています。これらは実際に実現できたタイミングで説明できたらな、と思います。

処理系の実装には今のところ TypeScript (Deno) を用いています。最初は Python や Ruby で実装することも考えましたが、型があった方が未然に防げるバグも多いので型付き言語を使うことにしました。Rust を使って実装する手もありますが、自分のレベルだと、Rust 特有の言語的制約にとらわれて泥沼にはまることが予想できたので、もう少し緩い手段を、と思って TS を選びました。TS の練習目的で使ってみているという面もあります。いつかは Ajisai 言語自身によるセルフホストにも挑戦してみたいですね。

今実装できているのは 32 bit 符号付き整数や文字列型といった単純型とそれらの演算、if 式、let 式によるローカル変数定義とレキシカルスコープ、第一級の関数(ただし関数クロージャはまだ)などといったものです。関数型的な言語機能をC言語系の構文で記述できる言語にしたいという感じです。現在はモジュール機能を実装したいと思っていますが、忙しさもあってそこで作業が止まっている状態です。もう少し機能が追加されたタイミングで、一度紹介記事を書いてみても良いかな、というつもりでいます。

音楽

昨年は動画投稿を目標にしておきながら結局できませんでした。動画にするには自分の技量やモチベーションがまだ中途半端なためです。しかし、昨年に入ってからネット上での主な生息地にしている Misskey.io で、ピアノの練習の成果や自作ピアノ曲等を公開してきました。

X (Twitter) での音楽の投稿は、音声を静止画付きの動画にしてしまえば一応できるのですが、無料アカウントだと時間制限が厳しいので大した曲の投稿ができません。ピアノ演奏動画は反応も少なめです。また、X にはいろんな人がいるので、(自分に対する発言でなくても)時に厳しい意見を目にすることが多く、どうしても投稿を尻込みしてしまいます。

それに比べると、Misskey.io では音声ファイルのままで自由な長さの音源をアップロードすることができます。また、投稿するとほとんどの場合で元気づけてくれるリアクションがつきます。小心者の自分にとって非常にありがたい環境です。

Misskey.io ではこれまでに、穏やかで癒し要素のある曲を主体にして投稿してきました(→ ピアノ演奏の投稿の一覧)。これは今の自分に最も合っているスタイルです。生活上で辛い気持ちになることが多いので、自分を癒す目的で弾いていることも多いです。元気溌剌な曲は、疲れで集中力が持たないので、弾いているうちに演奏が破綻してしまいます。そうした曲にも依然取り組んではいて、その取り組みにも意味があります(昨年は演奏技術の重要な進歩がありました)。しかし、そうした気力を要する曲を人前で発表するにはまだ機が熟していません。一方、自分が無理なく自然に表現できる音楽に重点的に取り組んだことで、聞いてくれた方々の反応と自分の内面の動きがより自然に噛み合い、良い相乗効果が生まれたことを感じ取ることができました(ちなみに昨年一番反響をもらった曲はにゃんぷっぷーの曲というものです。「にゃんぷっぷー」についてはこちらの記事が詳しいです)。

ところで、DTM への挑戦はあまり進展しませんでしたが、音声処理やシンセサイザーの基礎をちょっとだけ理解したので、前よりも障壁が低くなってきたことを感じています。練習で、自分のピアノ伴奏で初音ミクに歌ってもらったりもしました。こんな単純なことですらも、コンピュータ上での音声処理についてちょっとは知識があった方が良いということが、勉強するとわかってきました。自分に足りていなかったピースが少し埋まってきた年になりました。

実生活

正直反省だらけです。前半戦で力尽きてしまいました。原因は不適切な課題設定と、それに向けて頑張り過ぎたことです。私は精神的な問題で長期的に自分の専門分野に正面から取り組めていませんでした。昨年は、「今年こそはだいぶ心身が回復した」と見積もって再挑戦していましたが、自分の回復度合いを過大評価し、それを大前提とした課題設定をしてしまっていました。今回の失敗で、もはや「挫折以前の自分の状態に可逆的に戻ることが可能」という想定が幻想であることがはっきりしてきました。このような幻想は、「早く真っ当な社会人になりたい」という焦りがもたらしたもののように思います。

2. 今年取り組みたいこと

昨年の振り返りを通して、特に音楽において、自分に合ったスタイルで活動すると良い、ということがようやく理解できるようになってきました。以前は音楽でもそれ以外でも、現在の自分と比べて飛躍し過ぎている目標を目指してしまっていました。これは手数が爆発的に増えてしまうやり方なので、取り組んでいる途中で燃え尽きてしまう点で、現実的ではありませんでした。現在の自分を適切に評価した上で、現在地を起点に物事を発展させていくスタイルを、音楽だけでなく他の分野でも実践していきたいと思いました。

(「飛躍し過ぎている目標を目指す」ことに全く意味がない、とは今でも思っていません。うまくいくと、次の展開に向けてたくさんの可能性が開けてきます。ただし、飛躍した目標を追い求めることは失敗の確率が高いです。私の場合、このアプローチで数回、失敗を挟みつつもとりあえずの成功を達成してきたと認識して、これまでやり方を変えずにそのまま先に進み続けました。しかしそれらは不完全な成功であり、失敗時に蓄積した問題が成功時にも実は解決していなかった、ということに気づいていませんでした。この見逃しが、蓄積した問題の大きさを肥大させたように思います。そして最終的に心身の機能的連携の不全という事態が起こりました。何か代償を伴う目標に取り組むときは、失敗時のフォローアップで代償を支払える範囲の現実的な目標を設定し、失敗時にはそのフォローアップを適切に行う、といったことが重要のようです。このことについてはまだまだ考察が不足しており、生きる上で今後も向き合っていきたい課題となっています。)

今年の総合的なスローガンは「自然に笑おう」です。もちろんいつも良いことばかりではなくて、笑えない日も多いだろうと思いますが、自分が自然に笑える日が少しでも増えるように振る舞うことができれば、生きるのが少しでも上手になるのではないか、と期待しています。

個別の趣味や生活の課題については、今のところ以下のように考えています:

  • プログラミング
    • 自作言語:昨年の延長線上でぼちぼち取り組む
    • VOICEVOX:昨年は全然 VOICEVOX 関係の作業に手をつけられなかった。どの程度 OSS 活動ができるかは今年も未知数だが、引き続き自分に可能な作業を探っていきたい
    • その他の自作アプリケーションのプロジェクトもぼんやり考えており、要素的な技術の習得に取り組んでいきたい
  • 音楽
    • ピアノ演奏:昨年の延長線上で、穏やかな曲・元気な曲を、それぞれ気分に合わせて丁寧に練習する
    • 作曲・編曲:今の自分はピアノアレンジであればクオリティを上げやすいので、この分野にもう少し深く取り組む
    • DTM:ピアノを有効に使ったアレンジで、ボカロを歌わせることができればなあと思う。最低限、ピアノのみの伴奏で良い。ただし依然としてシンセサイザーに興味があるので、可能なアプローチを探ってみたい
  • 生活
    • たぶん昨年は、社会に馴染む準備をしようとし過ぎて、自分の自然体を見失っていたと思う。自分の体が自然に動く生活スタイルを模索していきたいと思う。そのために「自然に笑おう」というスローガンを設定した。また、自分だけでは収拾がつかないと感じたら、できるだけ速やかに他人の力を積極的に借りること。無理な努力をいくら重ねても良いことはあまりない

まあ、いろいろ書きましたが、気張り過ぎずにぼちぼちやっていけたらと思います。